カレーは和食?

カレーといえば、今や日本の国民食と言っても過言ではないほど普及した料理。
へたをしたら、最近の子供なんかは、もともと日本の料理だと思っているんじゃないだろうか?
こんなに日本で普及したカレーは、もちろんインド生まれなわけだけど、それでは我々が食べてるカレーは「元祖」インドのカレーと同じものなのか?
これは、やっぱかなり違うのだ。
日本でカレーといえば、まず皿の上にご飯が盛ってあって、その上に肉やじゃがいもやにんじんがごろごろっと入った、どろっとしたルーがかかっていて、福神漬なんかが添えてあって、その一皿で完結している、というのが一般的。
けど、これはインドのカレーとは決定的に違う。
まず、インドではカレーがご飯に最初からかかっている事はほとんど無い。
カレーは単品料理では無くて、他の料理も含め数種類を出すので、どちらかというと定食のようなスタイルに近い。
日本の普通の食卓が、主食(ご飯)があっておかずが何品かあって味噌汁があって、というのと、感覚的には同じで、要するにカレーは「おかず」の感覚に近いかも。
カレーに入っている具は一種類、じゃがいもならじゃがいもだけ、鳥肉なら鳥肉だけ、とかだったりすることが多い。
複数の食材が入る事ももちろんあるけど、せいぜい2〜3種類で、日本のようにごちゃっと色んなものが入っている事は少ない。
また、小麦粉でとろみをつけたりしないので、ドロッと感も少ない。汁気の全くないものもある。
まだまだあるけど、ちょっと挙げただけでもこれだけの違いがある。
では、なぜこんなに違う物になってしまったのか?
これは調理方法をくらべてみると何となくわかってくる。
日本では普通、まずカレールーを買ってきて肉やら野菜やらの材料と一緒に煮込む。
ちょっと手をかけるときは、スープストックをとり、カレー粉と小麦粉でルーを作ったりする。
このやり方、実は西洋料理のシチューとかの調理法方に非常によく似ている。
一方インドでは、カレー粉やらカレールーなどはそもそも存在しないし、スープストックなどもめったに使わない。
この事から、どうやらカレーはインドから日本にダイレクトに入ってきたのではなく、一度ヨーロッパを経由して入ってきているらしい事がわかる。
おそらく、西洋人がインド料理をヨーロッパに持ち帰った際、自分達の調理法が混ざってしまい、何だかちょっとずつ違ったものになってきてしまったんだと思う。
カレー粉も、西洋人はインド人のようにスパイスをうまく使いこなせないから、食品メーカーが最初からカレーに適したスパイスを調合して売り出したのがヒットし、広まったということらしい。
つまりカレー粉も西洋人が作り出したもので、元々インドにあったものではなかった。
カレーをライスにかけて出すスタイルとかも、もしかしたらヨーロッパでできたのかもしれない。
そんなこんなで、要するに日本のカレーは、ヨーロッパ経由で「洋食」として入ってきた。
そして日本の中でも、「ヒデキ感激!」とか言っている間にまたまた独自の進化をして、今の「カレー」の姿になった、という事だろう。
もはや「日本のカレーライスは和食です」と堂々と言っても、それが原因でインドから宣戦布告されるような事はないだろう。
なぜなら、インド人に日本のカレーを食ベさせると、割とこう言われるらしい。
「なかなかイケルね。で、これはなんて言う料理だ?(笑)」