インド古今東西

一口にインドといっても、国土が広く人口も多くて、実は国内各地でかなりの文化の違いがあるらしい。
日本にも、北海道から沖縄まで食生活や慣習、気質など地域によって色々と違いがある。
やれ関西弁はうるさいだの、東京もんはすかしていて嫌いだとか、食べ物にしても味噌は八丁味噌に限るとか、ラーメンは醤油だ、いやトンコツだとか、納豆なんて気色悪いもん食えるかボケとか、ちょっと考えただけでも大変な事になる。
それがインドなんて面積も人口も日本の何倍にもなるワケだから、地方色なんてレベルで事がおさまるわけがない。
インドといえばとりあえず暑いというイメージが強いけど、実は北はカシミールみたいな雪国から南は赤道直下までと気候もかなり違う。
言葉も方言なんてレベルでは無くて、インドのお札には16の言語が使われている(それでも代表的などうしても外せないものだけらしい)というから、国内に全く違う言語がいくつも存在してるわけで、スケールがまるで違う。
インド人とかひとくくりに呼ばれてもピンとこない人も多いらしい。「俺はボンベイ人だ」とか、そんな感じ...?
北部と南部では人種も違って、元々インド土着の民族は南部に多く、北の方に行くと外から入ってきたアーリア人系の人種が多いらしい。
またインドでは、国内外の各地へ旅行したり移り住んだりする事もあまり多くないので、自分の生まれた村から出た事のないという人も結構いるらしくて、ますます地域の特色が保たれているのかもしれない。
そして当然、食べ物も地域によって特色がかなりある。
やや乱暴だけど、東西南北でおおよその傾向を分類してみると、こんな感じかな...?
北インド
気候は寒い所もあって、料理の傾向はこってりした濃厚な味のものが多い。
小麦が採れるので、チャパティなどのパン類が主食。米は思ったほどは食べない。
日本のインド料理店は、北インド系のお店が多い。
◆西インド
わりと穏やかな気候で、料理は素材の味を生かした味付けが多いらしい。
主食は米の割合いが多い。
東インド
蒸し暑い気候で、ガンジス川など大きな河川が多いので、川魚を使ったカレーも多い。
主食は米とパン類が半々位で、わりと両方一緒に出したりする。
南インド
平均気温が40度を超す所もあり、問答無用に暑い。
そのためか、料理はあっさりしつつ、とても辛い。
米が主食で、パン類も米から作るものが多い。
かなり乱暴な分類なので、本来はこんな程度の違いではないとは思うけど、ちょっと挙げただけでもこれだけ違う。
調理法も地方によってかなり違うし、使うスパイスなどもガラっと変わる。
ちなみに、日本ではインド料理の代名詞のようになっている「ナン」や「タンドリーチキン」などのタンドゥール料理は、元々北インドのごく一部の地域の地方料理で、インド全土ではそんなにメジャーな料理ではないそうだ。
日本でいえば、北海道のジンギスカン料理とか、秋田のきりたんぽとか、そんな程度のメジャー感か?(どんなだ?)
大体タンドゥールなどという大掛かりな設備が各家庭にあるわけないので、少なくとも家庭で「ナン」を作って食べることはまず無い、ということだ。